日記

日記

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

7月31日 日記

いつも通りの日常が終わって、非日常となり、非日常が終わり、いつも通りの日常になったから通ったことのない道を帰った。 夕陽に照らされた住宅街には、人気がない。公園から聞こえてくるはずの子供の声が聞こえない。これまでならけたたましく騒いでいたは…

7月21日 日記

電車内での電話が不快なのは、片一方の会話しか聞こえないためらしい。会話を理解するための情報が与えられず、もどかしい感じがあるから。指示語が明らかにならない会話は、確かに歯がゆい感じがするだろう。 思えばこの日記も「それ」を中心として指示語を…

7月20日 日記

新幹線はとてつもなく速い。それだけで褒められるくらいには速い。それじゃあ鈍行列車はどうだろうか?各駅停車でスピードもそれほどでない。貶されればいいんだろうか?鈍行列車にもいいところがある。そして、新幹線にも悪いところがある。 新幹線は街の近…

7月16日 日記

すげー角度で飛んでったんだと思う。そう思わないと理解できない位置に便器が落ちている。正しく言おう、そう思わないと理解できない位置に和式便座が落ちている。 確かに和式便座は乗り物っぽい見た目をしているから、外に置いてあっても違和感はない。ある…

7月15日 日記

Hey John Doe. お前のことだ。お前は名前を持っているがゆえに、名無しとして生きている。打ち捨てられた幾つものハンドルネームたちが、恨めしくお前を睨め付けている。操舵輪のようにハンドルネームは取って代わられる。その日の気分によってコロコロ変わ…

7月11日 日記

何枚でもすれる版画が価値を持つのは、する枚数が限られているから。そこではキリ番もゾロ目も価値を持たない。版画は貨幣と違う価値の持ち方をする。 基本的に私は、caption、付加情報というものを嫌う。No Caption Needed. に顕されるように、そのものがそ…

7月8日 日記

昭和十年十二月十日に ぼくは不完全な死体として生まれ 何十年かゝって 完全な死体となるのである 寺山修司 『懐かしのわが家』 深海深く、たとえば光の届かない位置で泳ぐ魚。もし、湖がとても深く、底の方に光が届かないとしたら、それはそもそも湖なのか…

7月7日 日記

食べ物の国があるならそこに移住してしまいたい。きっと戦争が起こっても人が死ぬことはないだろうから。機関銃は粒マスタードマシンガンで、砲弾は完熟トマト砲で、毒ガスはニンニクスプレーだから、ちょっと辛いけど死なない。家に帰ってから家族にニンニ…

7月6日 日記

愛は普通に外来種なので、空港の検疫ではじかれるらしい。だから「愛を込めて」なんて書いてある手紙は、日本に届かない。メールでも同じことらしい。愛が込められているメールはウイルス添付のメールと同じで、受け取った側の機器に障害をもたらす恐れがあ…

7月5日 日記

ガードレールに爪が当たってしまった時のあの不快な感じ。あの音と、触感と、手に残るかすかな白い塗料。あの感じ。 朝からそれ。不快極まりない。何が指に触れようとその感覚が訪れる。布団をどかすのにも手は使えない。足で吹き飛ばした。立ち上がるのにだ…

7月4日 日記

自分のことは仕事ができない人間だと思って生きている。どれくらいかというと、例えるならば「コピーを頼まれた書類をそのままシュレッダーにぶち込む」くらいとでも言えばいいだろうか。実際そうでなくとも、それくらいできない。 それなのに、明らかに自分…

7月3日 日記

歩き方を忘れてしまったから一日中横になっている。正確に言えば、二本足で立つことはできるけど、片足に体重をかけることができない状態だ。つまり、ジャンプはできる。他には、虫みたいに匍匐前進ができる。ザムザみたいだ。彼よりはマシだろうか。 買い物…

7月2日 日記

文学が精一杯の罵倒で酒を飲み明かす日だった。金星の更新作業が間取りを無視して走り出してしまい、ぎょうにんべん同士が嘘のパージで殴り合ってしまったので、面目のなさが包括されてしまった。全くの開業ならまだ怯ませることはできたのかもしれないけれ…

7月1日 日記

おそらくだけどあの音はセミだろう。7月に入ってすぐに鳴き始めるとはよくわかっている。暦を理解しているセミは初めてだ。そしておそらく二度と生まれない。 誰かが言った、「セミが鳴き始めたら虫とりの始まりだ」と。 コンクリートジャングル、夏の東京で…