日記

日記

0505

卒業後ほとんど連絡をとっていなかった中学の同級生とずとまよのライブに行った。ライバル校に進学していたから連絡は取っていないにしろ交流はあった。あったけど、あっただけ。

 

どんなやつだったかとちょっと思い出してみたけど、記憶しているそいつの姿全てにどこか暗い影を感じる。好きな相手のことをずっと冷やかされていた。小6のクラスで孤立していた。仲違いだったと思う。仲の良い相手はたぶん一人で、別のクラスにいた。休日の昼、西友のフードコートで一人でご飯を食べていた。中学では自分と同じ陸上部に所属した。仲良し3人組が数ヶ月で崩壊した。弾かれた一人は別のグループに吸収されて、残った二人というのは数行前に触れたそいつとその友人。リレー選抜のためのタイマンでそいつは負けて、祝福を受ける勝者から離れたところにいた。勝者は弾かれた一人が所属してたグループの人間だったからなおさら当て擦りのような祝福だったと思う。二年の夏、そいつとその友人は副部長と部長になった。三年の夏、人知れず学校代表として弁論大会に出ていた。自分が知っているのはそいつに代表の座を奪われたから。三年の冬、月一回の実力考査でそいつに一位を奪われた。中学の間、誰に負けたかなんて全く覚えてないけれど、そのことはずっと覚えている。目の前で直接勝利宣言も受けた。かなり得意気な表情だったし、「マジか」と思った。

 

高校に入って、卒業した。同窓会では会わなかったけど、人伝いにインスタを交換した。どこからかずとまよが好きだということに勘付いたらしく、色々と話をした。ずとまよがないと生きていけないって言ってたし、会話の端々に歌詞のサンプリングが見受けられるから相当好きなんだと思う。あと不眠症らしい。元気にいうものではないと思う。影はより濃くなっている。

 

二曲目が脳裏上だった。やる訳ないと思ってたからとても嬉しかったし、笑みが溢れた。恒例のビストロスマップパロディパートは二人揃って「ハゼ」を選んでいた。「これしかないよね」って。他の多くの人もハゼがいいと思ったらしくてハゼになった。そのあとはacaねの妄想BLを聞かされて、acaねが原付で空を飛んで、ステージでデス豆板醤チャーハンを作ってた。意味がわからない。チャーハンはサプライズ登場のカリオペが食べるらしい。2日目もあるんだけどな。綺羅キラーのラップはカリオペじゃないとつとまらないと再認識させられた。カリオペ🫶。秒針はみんなで歌った。自分の声が聞こえないほどだった。幻の五香粉からシームレスにサターンのサイドステップに移行したのは気持ちが良かった。新曲はヒップホップが強めだった。踏んでいた韻は「順風満帆」と「十分満タン」。これまでで一番長い韻なんじゃないだろうか。さいごが「暗く黒く」だったのは意外だった。盛り上がる曲じゃないと思ってたけどきちんと盛り上げたのはさすがという感じだった。

 

帰り道そいつから色々話を聞いた。自分以上に経歴に対して誇りを持っていて、それを自信にしている感じがした。卒業高校に対する思いがとても強かった。自分がその高校にいたということを強く誇り、胸に刻み、その一員であることを念頭に置いたような強い発言を聞けた。「私がこんな誰でもできるような仕事をするなんて」というニュアンスのことも言っていた。そうだ。あの高校を出た人間はそんなタマじゃない。だったらなおさら自分もそうだ。崩れゆくイデアの高校像に対して苦言を呈してもいた。憂いというより怒りが強かったように思う。女性應援團長が誕生するさい、彼女は援用を多数行って理論武装をしていたらしいが、そいつは「なぜ自分の言葉で戦わないのか」と怒っていたし、それを團長に実際にしてしまった生徒らに対しても怒っていた。この怒りは自分にはない。ないが、こういう怒りをできるようになりたいと思う。自分の属する集団の堕落に怒りを表明できるのは素晴らしいことだ。そいつは自身のことを陰キャであると語っていた。たとえそうだしても、強い陰キャである。強い。ただ本当に強い。自信がすごい、怒りがすごい、誇り高い、相槌が心地いい、美しい表情を作る、言葉が軽くない。彼女が弱いのだとしたら誰が強いのだろうか。彼女から学ぶことはとても多い。自信を持て、感情をサボるな、誇り高くあれ、相槌で流れを作れ、表情をサボるな、言葉は軽くあってはならない。彼女は手の届かない高みにいるが、雲の上にいるわけではない。見える位置にあるのなら辿り着くための方法はいくらでもある。空島に行けるのは空島を知っている人間だけだ。

 

「気ィつけてな」彼女は最後にそう言った。