日記

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5月20日 日記

吸血鬼の涙は大きい。吸血鬼の涙は丸い。肌を転がり落ちて地面で弾ける。

 

吸血鬼の涙は光を反射して静かにきらめきながら落ちる。私はそれを美しいと思った。吸血鬼は悲しんでいるのに美しいと思ってしまった。涙に反射した光を美しいと思ったのか、吸血鬼の涙そのものを美しいと思ったのか、それとも吸血鬼が悲しんでいる様を美しいと思ったのか。ここではあえて明示しない。

 

その日歩いていたのは、街から離れた街灯すらないような町で、それなのに涙は光った。夜は暗いが、まだそこに光は残っているということだ。