日記

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9月5日 日記

 枯れ枝に混ざって蝶々がいると思って近づいたら内臓を抉られて死んでいるリスだった時の気持ちがわかるかよ。「桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる」とかやかましいわ。何が美しいものの近くに死体があるとより一層美しいだよ。興醒めだわ。

 確かに蝶は美しかった。黒の中に青がある模様で本当に綺麗だと思った。綺麗だったからそれだけでいいじゃんか。百歩譲ってリスの死体があるだけならまだいい。だからって内臓を抉られて中身丸出しのリスじゃなくてもいいじゃんか。普通に嫌な気分になった。これだから死は好きじゃない。特に、手に取れる範囲にある死はより一層好きじゃない。